「頭を活用」
今日も、イレーナさんが朝早くからホテルまで迎えに来てくれました。バリに来てから連日のように探し回っている木彫品を探す予定です。
木彫品のお店はもちろんたくさんありますが、こちらが欲しい商品とは微妙にデザインや細工が違っていて、なかなかこれ、といったものにめぐり会えません。
とにかく、市場を探し回ることから始まります。この日もイレーナさんの案内で、一つの市場を訪ねました。日本の郊外のショッピングセンターのような4階建ての大きな建物です。
どこの国へ行っても同じようですが、とにかく小さなお店がひしめくようにして集まっています。狭い入り口から中へ入りますが、それぞれのお店の売り込みが激しく、
中にはお客の手を引っ張って、中へ引っ張り込むようなところもあります。一軒づつ、小さな商品も見逃さないようにしながら見て回ります。
2階、3階とまるで迷路のような通路を進むうち、やっとお目当ての木彫の面のお店が見つかりました。
以前買い付けたものとは、デザインが少し変わっていますが、値段を確かめると大体予想した価格でしたので、気に入ったものをどんどん選んでいきました。
サイズも3種類ほどありますので、それぞれで選んでいくのですが、注意して見なくては、天然の木ですので、ひびが入っていたり割れ目が入っていたりするものもあります。
店に並んでいるものだけでは数が少ないようなので、オーナーらしき女性にもっとないかとたずねてみますと、「ちょっと待ってください。」といってどこかへ行ってしまいました。
しばらく待っていますと、その女性がお面を持って戻ってきました。もう一人お面を持った女性が一緒でした。どうやら、近くのお店の方のようです。
そういえば、メキシコなどでも、市場などで商品を買い、支払いの時におつりが必要な時、お店の方が小銭を持っていない場合もあるのですが、近所のお店の方におつりを借りる場合があるのです。
ご近所のお店同士、助け合うとでもいうのか、そういった場面がよく見られます。
すべて選び終わり、支払いも済ませたのですが、何分大型商品のため私たちだけでは運び切れそうもありません。オーナーに車まで運ぶのを手伝ってほしいとお願いしてみますと、
快く承知してくれました。そのお店には男性もいたので、てっきりその男性が運んでくれるのかと思っていたのですが、手伝ってくれたのは、女性のスタッフでした。
それも、すらりとした方だったので、どうやって運ぶのだろうと見ていますと、一枚筒きちんと包装した大きなお面を何枚も重ね、驚いたことにそれを頭に載せ、残りの商品を左手に持ちました。
内心、大丈夫だろうかと心配したのですが、その女性は慣れているらしく、うまくバランスをとりながら、通路を抜け、階段を下りて、車のところまでどんどん運んでくれました。
走っている車から、気をつけてみていますと、ここバリ島では、女性が頭に籠を載せて歩いているのをよく見かけます。
たいていは、神様へのお供え物なのだそうですが、寺院にお供えして礼拝したあと、またそれをもって帰るのだそうです。男性のそのような姿は見かけませんので、
女性の毎日の大切なおつとめなのでしょう。
それにしても、人の頭というものの活用方法を再認識したように思います。
左写真 頭で運んでいる様子 December 2003 撮影
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