「なくなったホテル」
6月に泊まったのは「Siam Inter-Continental Bangkok」というホテルで、スカイトレインのサイアム駅の目の前のとても便利なホテルでした。
今回も同じホテルにしようと予約しようとしたのですが、オンライン予約のどこのホテル予約サイトからもぜんぜんできませんでした。
仕方なく別のホテルを予約したのですが、実は6月いっぱいで廃業だったのでした。
この「Siam Inter-Continental Bangkok」は、駅や道路の目の前の本当に街のど真中にあるホテルなのですが、
一歩中に入ると、都会の喧騒をも忘れさせてくれる実に静かなホテルでした。
まずその広大な敷地、宿泊は2つの建物に分かれていますが、とにかく庭が広いのです。
その広い庭には、木々が生い茂り、円形のプールがあり、大きな池、あずまや、何面ものテニスコートなどが点在しています。
その間を縫って、小道が続いているのですが、そこをジョギングコースとして、朝早くから走っている宿泊客の方もいました。
孔雀も何羽か放し飼いされており、散歩の途中でその羽を広げた美しい姿に見とれることもしばしばです。
たくさんの木々の中で、色々な小鳥のさえずりも聞こえ、しばし別世界にいるような雰囲気になります。
いつも、交通の便を最優先にホテルを選んでいるのですが、
このホテルは、思いがけず、ホテル内で朝の散歩を楽しめるという、ゆったりとした贅沢な気分にさせてくれたホテルでした。
うわさでは、跡地に商業ビルができて、その中にホテルも入って、運営はやっぱりインターコンチネンタルになるということですが、
いくら最新鋭のホテルになっても、もう二度と朝の散歩など楽しめないでしょう。
今、サイアム駅から眺める風景は、6月がうそのようで、その残骸をながめていると感傷的な気分になりました。
左写真 Siam Inter-Continental Bangkok跡 November 2002 撮影
|