「フリーダ・カーロ」 February 2005


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フリーダカーロコレクション

 昨年の映画公開から話題になっている、メキシコの女流画家「フリーダ・カーロ」ですが、今回は彼女の生家であり、現在記念館になっている「フリーダ・カーロ美術館」をたずねました。
フリーダ・カーロ美術館 「カーロの人生」
 フリーダ・カーロはメキシコのオアハカ出身の母とハンガリー系ユダヤ人の父のもとに1908年7月6日に生まれました。メキシコ革命直前の不穏な時期に育ち、6歳時に襲われた小児麻痺との闘いなど孤独な少女期を経て、 医学を目指す前途洋洋たる青春期に訪れた思いもかけない残酷な運命。乗っていたバスに電車がぶつかり、九死に一生をえたものの、脊髄を傷つけてしまい、身体的な苦痛を一生背負わなければならなくなってしました。 が、それがカーロを絵の世界へ導きます。それから、すでに偉大な画家として活躍していた、ディエゴ・リベラとの運命の出会いをし、結婚するのですが、その結婚生活は愛憎渦巻く過酷な体験となり、その体験からの彼女の叫びが 創作活動を活発にさせていきます。
「美術館を訪ねて」
 地下鉄の3号線に乗り、「コヨアカン」の駅で降りて地上に上がりました。広い道路が走っており、どの方向へ進めばよいかよくわからなかったので、 すぐ前にいたタクシーの運転手さんに尋ねてみました。 「フリーダ・カーロ博物館」をたずねますと、この道路をまっすぐに行って・・・とすぐに教えてくれました。 いわれた方向へ進んでいきますと、すぐに閑静な住宅街に入っていきました。石畳の続くゆったりとしたつくりので 玄関回りや窓際を可愛いお花できれいに飾った住宅なども並んでいました。
 そして、最後に道を曲がったところに、壁がすべてブルー(日本では群青色というのが一番ぴったりだと思いますが。)の建物がありました。 建物の前には観光バスも止まっており、まさにそこが、「フリーダ・カーロ美術館」だったのです。

 まだ10:00になっておらず、ドアは閉ざされたままでしたが、10:00と同時に扉も開けられました。 入り口でチケットを求めた後、隣の部屋で貴重品以外手荷物をすべて預けることになっていました。
 この博物館は、カーロの死後に、夫だったディエゴ・リベロがカーロの業績を残すために、整理したものだそうです。概観はブルー一色で、「青い館」と呼ばれているそうですが、一歩中へ足を踏み入れると、そこは本当に伝統的ともいえるメキシカンカラーが展開されて、 ブルーを基調として、イエロー、グリーン、レッド・・・とその色彩に圧倒されます。 古い石造りの建物の中へ入って行きますと、最初の部屋にはフリーダ・カーロの夫だったディエゴ・リベラがデザインした古い暖炉や博物館のコレクションの絵とともに、カーロの日記が展示されています。 コレクションはフリーダのものばかりではなく、教え子達のものも展示されているようでしたが、中でもフリーダの最後の作品、スイカを描いた「Viva la Vida」の赤色がひときわ目を引いているようでした。
 2番目の部屋の入り口で女性スタッフが立ちはだかるようにしていましたので、その部屋には入れないのかと一瞬思いましたが、その女性はタイミングを見計らいながら解説を始めました。
 次の部屋はカーロが生まれた部屋で、「二人のフリーダ」の絵が飾られて、 その横には実際に生前身に着けていた、メキシコの衣装が飾られて圧倒的な存在感を示していました。
 その次の部屋にも、交友のあった画家たちの作品が飾られて、その奥にはメキシコの農家の雰囲気を漂わせたキッチンに続きます。 なんとも居心地のよさそうなキッチンで、黄色や赤で塗られたテーブルや椅子とともに、 民芸品の素焼きのピッチャーや食器がさりげなく飾られて、センスの良さを感じさせてくれました。 さらに、大きなベッドが置かれたディエゴの寝室へと続きますが、簡素なつくりの部屋の中で、ベッド横には、Nickolas Murayが描いたカーロの肖像画が飾られていて、二人の絆を感じられるように思われました。

 オリジナルの建物はここまでだったそうですが、さらに2階へと続いていて、階段横の壁面には2人のコレクションのブリキの宗教画が一面に並べられて、厳かな雰囲気を漂わせていました。 そして、階段上にはガラス張りの大きなアトリエがあって、使いさしのように、ぶらしや絵の具やイーゼル、 そしてカーロの使っていた車椅子、奥にはエキパルのチェアーなども配置されて、カーロの息遣いまで感じられるように思いました。 そこからさらにカーロの寝室へと続きますが、ベッドの上には生前使っていたバラの花が丹念に描かれたコルセットもさりげなく置かれ、 可愛い中南米やスペインなどの人形とともに男女の日本人形まで飾られていました。 壁には毛沢東、トロッキーなどの共産主義社会のリーダーの肖像画が飾られていましたが、その中にもメキシコの歴史的な意味合いが感じられます。彼女の深い人生をかみ締めるような思いがしました。
 建物はそこまでですが、2階から庭に出られるようになっており、庭には背の高い木々とともにさまざまな花や植物が植えられ、一角にはディエゴのデザインしたピラミッドまで作られています。 カーロはこの庭にメキシコ特有のショロ犬、鹿や鳥、猿などさまざまな動物も飼われており、 それらはカーロの絵のモデルにもなっていたそうです。 建物の中の装飾品から庭に飾られた置物まで、どれも2人の芸術的センスとともに、スペインに征服される以前のメキシコの伝統的な文化をとても大切にしている心をとても深く感じさせられました。 カーロの描く世界が、 どちらかというとシュールレアリズムを想像させるだけに、その対比が何ともいえません。

 カーロの一生は、映画などでも見られるように、どんな言葉を並べても表すことの出来ないくらい複雑で想像を絶するものですが、この美術館に立っていると、カーロの苦しみや悲しみを超えて、不思議な落ち着きと静けさを感じさせてくれました。

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