「ビジャヌエバ」 April 2004


 去年もご紹介したトナラの工房の一つ「ビジャヌエバ」から、無理をお願いしたとても素敵なオンリーワンのランプベースが届きました。 素晴らしい出来栄えですので、是非とりあげてご紹介したいと思います。
ビジャヌエバ 「小さな工房」
 メキシコのグアダラハラの近郊にあるトナラは陶磁器の里として、また毎週木、日曜日に開かれるティアンギス(インディオ市)が開かれる街として有名です。 陶磁器の里と言われるだけに、様々な陶器の工房が集まっています。大きい規模の工房もありますが、たいていは家内工業型の小さな工房です。
 ティアンギスの開かれる通りから割合近い所に工房が集まっていますが、その中に「ビジャヌエバ」という工房もあります。 通りに面してはいるのですが、うっかりすると見逃してしまうような門構えも小さな工房です。
 訪ねたのはちょうどお昼休みに入った時間だったのですが、声をかけると中に入れてくださいました。
「ランプベース」
 門構えは小さいながら、奥ゆきはかなり深い住居と工房が一緒になっている建物です。家族の方が食事をしているのを横目に、どんどん奥へ入っていくと、 工房がありました。土の入った袋が山積みで、作業場になっています。が、台の上に無造作に置かれている壺が目に止まりました。
 ビジャヌエバさんは子供さんと二人だけで作品を作りつづけています。お父さんの方は、芸術家肌で、ご自分の創作活動も続けて、 コンクールや展示会にも出品し、いくつかは美術館へも飾られているそうです。 お話を伺うと、台の上に置かれている壺も、展示会へ出品するはずだった作品で、実はランプベースで、未完成だということで、そのままになっていました。 なぜ完成させないのかとさらに伺うと、作品のフクロウの部分の爪がたった一つ欠けているということでした。 そのために、完成できないでいたのでした。
 こちらはもう、その作品に一目ぼれしてしまっていましたので、どうにかして譲ってもらえないかとお願いしてみました。 もちろん、最初は絶対に譲れないということだったのですが、ランプベースに直接描かれた図柄もとても美しく、簡単にあきらめられるものでもありません。 とにかくお願いするしかありません。時間をかけてお願いして、どうにか譲ってくださることになりました。
 工房では、下の左側の写真でもわかるように、太陽のコロナの部分の金属がまだ取り付けられていませんでした。 完成をまつのももどかしく感じられ、そのまま持って帰ろうかとも思ったのですが、ビジャヌエバさんも完成させますと約束してくださったので、 それを待つことにしました。日本へ届くまで、それから1年かかりましたが、完成したランプベースはより美しいもので、待っていて良かったと思いました。
 展示会に出品されるはずだったこのランプベースは、「The sun sets and the owl」という題名がついていました。 もし、フクロウの爪が欠けていなかったら、けっして譲ってはいただけなかった作品です。 芸術品としてとても素晴らしいランプベースです。

写真 工房でのランプベース January 2003 撮影    写真 完成したランプベース March 2004 撮影   
写真 ランプベース 

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