「グァテマラの絣」 December 2003


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絣の小物

 絣(かすり)と聞いて私たちが思い浮かべるのは、藍地に白く文様の浮き出た木綿の紺絣ではないでしょうか。 久留米絣や伊予絣など、木綿絣は歴史的にみても、一般庶民の間で独特の広がり方をしたという点で、日本独自の染織だというイメージが定着していますが、 絣は世界の色々な地域にわたってみることのできる染織なのです。
絣の小物 「絣の工程」

 絣は織物の中では、経糸や緯糸と織る前に染める、先染織物に分類されます。経糸や緯糸を、それぞれ数本あるいは数十本まとめて、 他の糸や植物の繊維などできつくくって染める方法がとられています。そのため、くくられた部分には染料が浸透せず、くくられていない部分のみが染められて、 経糸や緯糸はいずれも部分的に染め分けられます。そして、これらの糸を織っていくことによって、織物の上に文様が形づくられるのです。
 絣の製作工程の中で、最も重要なポイントは、このくくりによる糸の防染になります。が、それ自体は割合に簡単な技術ですので、世界中いたるところで目にすることができるわけです。
 
「絣の種類」
 絣は絣糸(糸をくくることによって染め分けられた糸)が織物を構成する経糸と緯糸のいずれか一方、またはその両方に用いられることによって、経絣、緯絣、経緯絣の3種類に分けることが出来ます。 経絣は経糸に、緯絣は緯糸に、経緯絣は経糸と緯糸の両方にそれぞれ絣糸が使われて文様がかたちづくられます。
 これらの絣の製作の中では、経絣が一番やさしく、経緯絣が一番高度な技術を必要とするといわれています。
「グァテマラの絣」
 絣の起源は現在でも定かではありませんが、インドが発祥の地であるという説が強いようです。インドから東南方へと絣の技法が伝えられていったと考えられています。
 南米ペルーでも、インカ時代の裂が何点か発掘されていますが、他の装飾技法に押されたと見え、その後絶えています。 本格的に中南米に絣の技法が伝わり、そして根付いたのは、15〜6世紀、フィリピンから中米に向かった航路に乗ったスペイン人の手によってではないかといわれています。
 中米の中では人物を文様化させたグァテマラの絣が最も多彩で、アティトラン湖周辺の村々でインディオの文化の中に定着し、熟成をみせていきます。 グァテマラで経絣、緯絣、経緯絣とすべての絣の種類が見られることはとても重要です。絣は木綿の他に絹や羊毛等の素材でも織られています。全体的に色調のトーンも強い感じです。

引用文献 「染織の美5」京都書院刊
引用文献 「染織の美27」京都書院刊

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