「死者の日 ミニチュアカラベラ」 August, 2002

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 メキシコの街中を歩きながらお店を見て回っていますと、ミニチュアのガイコツの人形や色々な場面をあらわしたミニチュアハウスなどが売られているのを見かけます。 それぞれのガイコツの表情や、それぞれの場面などをよく見ますと、怖いという雰囲気はなく、逆にユーモアなどを感じほほえましくなってきます。 メキシコの人々にとって、ガイコツは日常的に身近になれ親しんだもののようです。
特に、11月1日〜2日は「死者の日」といって、ちょうど日本の「お盆」のようなものですが、亡くなった人々を暖かく迎え、もてなし、手厚くお送りするという一連の行事が行なわれます。 この時期が近づくと、本当に街中、ガイコツだらけになるのです。
ガイコツモデル 「死後の世界」
 人間は死んだ後どうなるのかという考え方は、地域や時代によりさまざまですが、古代アステカではどのような生き方をしたかで決まるのではなく、どのような死に方をしたかによって決まると考えられていました。
死後の世界は、13層の天と9層の地底世界からなり、その死に方によってどの層へ行くか決められていたそうです。たとえば、生贄にされた人は天のある層に、自殺者は天の別の層に・・というように。

しかし、特別な死に方をする人は少なく、大部分の普通に死んだ人々はすべてミクトラン(地底世界)に入り、旅人となって、様々な試練と出会いながら旅を続けていくと考えられていました。 そのため、その旅に必要な食物や衣服など、そして、地底世界の道案内と考えられていた犬までもが一緒に埋葬されることもあったようです。

死の神様は「ミクトランテクートリ」といいますが、この神さまは、紙の服を着てガイコツ風の姿に描かれています。が、その姿は怖いというより、親しみさえ感じさせるような描き方になっているようです。


「死者の日」
 11月1日〜2日が「死者の日」にあたります。この日はメキシコ全土が祝日となり、盛大なイベントが行われます。

もともと、アステカ世界ではベインテーナ(20日の単位で、現在の「月」にあたるものです。)という暦が使われていましたが、 その中の「トラショチマコ」と呼ばれる10番目の月には、死んだ子供たちのお祭りをし、その次の「ショコトルウエツイ」の月には、大人の死者のためのお祭りをしていました。 これは今の暦で、8月くらいにあたります。
しかし、それからスペインに征服されたことにより、キリスト教への改宗を余儀なくされましたが、それまでの信仰とキリスト教が融和されていく中で、カトリックのお祭りである万聖節(11月1日)と万霊節(11月2日)に合わせるという形で お祭りは11月に移りました。
時期はカトリックの行事に合わせられましたが、「死者の日」にマリーゴールドの花を飾ったり、いろいろな供物が捧げられるような風習は、スペイン征服以前のまま残っています。 (マリーゴールドの花は、亡くなった人が自分の祭壇まで帰ってくることができるように、道しるべの役割も果たすと信じられています。)

ミニチュアカラベラ 「死者の日の様子」
まず、10月31日の深夜、子供達の魂がこの世に戻り始め、翌日、大人達が戻ってきます。そして、この世に残した家族と楽しい食事を過ごし、11月2日に自分達の世界に戻って行くと信じられているのです。
各家庭では祭壇が設けられ、生前の写真、花、好物の料理やテキーラなどが捧げられます。なかでも、のどの渇きを癒す水、お腹を満たすパン、食べ物の味付けとしてあるいは清めのためとしての塩は、祭壇に欠かしてはいけないものだそうです。 そして、亡くなった家族を表すろうそくが、一晩中灯され、邪鬼を追い払うためお香がたかれます。祭壇やお香は、亡くなった人の魂を迷わず家に導く役目も果すそうです。 もともと、この祝日は死がモチーフとなっているので、砂糖でできたガイコツなどを祭壇に飾ったり、家族や友達に贈ったりします。おくられたガイコツアイテムに自分の名前が書かれていたりすると大喜びです。

その日のために、周到な準備をするわけですから、死者の日が近づくと、街中がお供えで飾飾るための骸骨グッズで埋め尽くされることになります。 レストランやホテルでも、もちろん色々な飾り付けをしていますし、市場でも、骸骨を形どった砂糖菓子やチョコレート、「死者のパン」と呼ばれる甘パンなど食べるものまで骸骨づくしとなるわけです。

お墓もきれいに磨き上げられ、マリーゴールドの花を中心に鮮やかな色の花で飾られます。そして、亡くなった家族が好きだったご馳走やテキーラなどが並べられます。 そして、ロウソクに灯をともし祈りを捧げるのです。真夜中になり鐘が鳴らされると、亡くなった人々を暖かく迎え、もてなすために、飲んだり食べたりおしゃべりしたりと楽しい時間を過ごすのです。 墓地の回りでも、屋台が並んだりととてもにぎやかになります。音楽もながされ、歌を歌ったり、踊りを踊ったりと夜通しの大騒ぎとなります。
その中でも、オアハカで行われる「コンパルサ」(死者の日に行われる仮装行列)や、ミチョアカン州ハニツィオ島の巡礼など、 スペイン征服以前の風習を色濃く残していることで有名です。

このようにして、「死」というものを恐ろしいものでも忌むものでもないということを、メキシコの人々は子供の頃からごく自然に受け入れてきたのだと思います。

参考文献 「マヤ・アステカ神話宗教辞典」 東洋書林刊
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